山行報告                                    【記 駒崎】
2004・7/25〜29大深沢遡行                      メンバー OB西川・駒崎
東北地方のつゆが明けた直後の25日朝川崎を出発、東北自動車道を利用して乳頭温泉入り。先達川の脇にテントを張り翌日に備えた。
26日 いよいよ葛根田入りである、早朝孫六温泉手前にある登山道より登り始める。
一時間も登れば乳頭山からの道と合流する、このあたりは木道になっていて辺りは湿原であり、眺めのよい所でもある。
ここより小白森方面に向い葛根田の支流戸繋沢を下降する。以前来た時より薮がすごい(後で分ったがルートが違った)下るにつれ水量も増し岩魚の影もちらほら、しばらく行くと大石沢が右岸より出会う、本流は目と鼻の先である。
本流を確認したところで、突然、人の姿が。滝ノ上方面より、葛根田を遡行して三ッ石に抜けるとの事。今日は、滝ノ叉沢出会まで途の事である。今日我々は、中ノ叉沢出会に、テン張る予定なので、急ぐこともない。ゆっくり行こう。
程なくして出会に着いた、近くて拍子抜けした。テント、タープを張り、薪を集めて準備万端、夜の宴会に備える。昼食にそうめんを食べ、時間があるので、ふた手に分かれて釣りをする。西川さんは本流、私は中ノ叉沢。中ノ叉沢には熊の足跡が数箇所有り驚かされた。釣果は、まずまず、今夜食べる分を頂きり、リース。
27日 今日は、本流を遡行して稜線に抜け、関東沢の支流を下降する予定である。滑、釜、瀬などを交えながら進むと大滝である。左岸より巻き、上部に出る。問題になるような所はない。秋に来たら紅葉の素晴らしい事だろう。
しばらく行くと滝ノ叉沢出会に着いた。北ノ叉沢からも出会に懸かる滝が見てとれる。北ノ叉にルートをとり、5分もすれば6メートルの滝をかけた支流が、右岸より出合う。この沢を詰め上がる事にする。小滝を何箇所も越え、瀬や釜をすぎていく。水の太い方を選びながら進む。いよいよ源頭である。2度ほどスラブに阻まれて、もどったが、何とか稜線まで行けそうである。またスラブが現れたが、草付きを強引に登り、薮こぎ40分ほどで八瀬森の標識のところにでた。
当初の予定では、ヤセノ沢下降であったが、大深沢730Mまで時間が掛かりそうとのことで、八瀬森山荘の支流より下降する。湿原を横切り細い流れを下る。またまた熊の痕跡である。水芭蕉を食い荒らしたあとや足跡いい気持ちがしない。西川さんは笛をならし下っていく。
流れが徐々に太くなり、小滝、釜など見送ると右岸より関東沢が合流する。一挙に水かさが増した。左右に渡渉を繰り返し進むと、きょうのテン場898M大深沢出会いである。昨日同様、焚き火を囲み岩魚のさしみで一杯。山の恵みに感謝。
 28日 今日は1日釣り三昧である。西川さんは「岩魚のしゃぶしゃぶをやるぞ」と、気合十分である。朝食を済ませ支度をして釣り開始である。大深沢本流から上流に掛かる通称ナイアガラの滝を越え、その先の三つ叉になっている沢の1つ、東ノ叉沢の少し上まで釣り上がる予定である。ポイントを丹念に探れば、いい時間になるだろう。西川さんはキジ餌で、わたしはぶどう虫で釣る。餌さとしては、私の方が高価である。はたして岩魚に、このことが理解できるだろうか。
つり始めて40分位過ぎただろうか、上流より人が降りてきた。どこかであった事のあるような、見覚えのある顔である。笠をかぶり髭をたくわえ・・・。そうだ、あの人はテンカラ釣りの名人と言われたS翁である。険悪と言われてきた数々の谷に入り、岩魚を釣り上げてきた名人である。少し雑談したのち別れたが、関東沢にはいるとの事である。
我々も上流を目指し少し行くと、大きな滝が見えてきた。これが、ナイアガラの滝かなと思ったが違うようだ。西川さんはポイントを丹念に探り、いいつりをしているようだ。しゃぶしゃぶ出来るかな?渦になっている所に餌さを流すと、かなりの手応えである。糸鳴りがして大物の予感。上がったのは30pジャストいい面構えである。
顔を上げると、そこにはナイアガラの滝が行くてを塞いでいた。ルートを探し、ずぶ濡れになって滝の上に出た。滝の上は、滑の連続である。滑が終わると釜が現れ、その中に岩魚がいる。滑の大変美しい場所である。すぐ上は三つ又である。
仮戸沢の脇にS翁のサイトを見送り東ノ叉沢に入る。やはり滑、釜の連続のようである。時間を見ると3時20分である。釣りにも満足。おかずも確保したし下ることにした。途中、S翁と挨拶を交わし4時頃テン場に着いた。さっそく宴の準備である。さしみ、しゃぶしゃぶ、塩焼きと、こんな贅沢な事はない。酒を酌み交わし、いつしか眠りに着いた。
 29日 相談した結果、今日下山する事にした。釣りにも満足。この豊かな森にも二人とも大満足である。身支度を整え、関東沢を遡行するが、地形図を確認しないまま進んでしまい、2度ほどルートを間違えたが、八瀬森山荘に無事つくことが出来た。ここから乳頭温泉まで、約7時間登山道を歩かなければいけない。この暑さの中、やる気がしないが仕方ない。
途中下には、田沢湖、大白森湿原、乳頭山など、目を楽しませてくれ暑さも忘れ、無事乳頭温泉に着いた。大釜温泉の湯につかり山行の疲れを癒し帰路についた。
このような豊かな森が、一つでも多く、後世に引き継がれん事を祈ります。今回、OBの西川さんには、料理に始まり色々お世話になり、ここにお礼申し上げます。
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